腰痛を年齢だけの問題にしない

腰痛は高齢者に多い症状ですが、「年をとったから仕方がない」とは限りません。原因や症状に合った対応によって、痛みや生活上の不便を軽減できる場合があります。

一方で、腰痛によって動く機会が減ると、筋力や生活機能が低下し、フレイルの進行につながる可能性があります。痛みを我慢して放置するのではなく、症状を確認しながら適切に対応することが大切です。


高齢者の腰痛に関係する代表的な要因・疾患

筋力や身体機能の低下

加齢や活動量の低下によって、体幹や股関節周囲の筋力、柔軟性が低下すると、立つ、歩く、物を持つといった動作がしにくくなり、腰痛の悪化や活動制限に関係することがあります。

ただし、筋力低下だけで腰痛の原因を説明できるわけではありません。腰痛の多くは、痛みの原因を一つの組織や病気に特定できない「非特異的腰痛」です。

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症は、背骨にある神経の通り道が狭くなり、主に脚の痛みやしびれ、歩きにくさが現れる病気です。腰痛を伴わない場合もあります。

立ったり歩いたりすると症状が強くなり、座る、しゃがむ、前かがみになるなどして休むと軽くなる「間欠性跛行」が代表的です。

骨粗しょう症による脊椎椎体骨折

骨粗しょう症がある高齢者では、尻もちや中腰などの軽い外力でも、背骨が骨折することがあります。明確なきっかけがない場合や、痛みが軽い場合もあります。

突然の背中・腰の痛み、身長の低下、背中が丸くなったなどの変化がある場合は、早めに整形外科を受診しましょう。

腰以外の病気による痛み

腰痛の中には、感染症、がんの骨転移、尿路結石、消化器や血管の病気などが原因となっているものもあります。いつもと違う強い痛みや、安静にしても改善しない痛みには注意が必要です。


日常生活でできる腰痛への対応

無理のない範囲で体を動かす

慢性腰痛では、体調や身体機能に合わせた運動が、痛みや生活機能の改善に役立つことがあります。

特定のストレッチや体幹トレーニングが、すべての人に適しているわけではありません。痛みの強いときや持病がある場合は、自己判断で無理に行わず、医師や理学療法士に相談しましょう。

同じ姿勢を続けない

腰痛を防ぐ唯一の「正しい姿勢」があるわけではありません。一つの姿勢を長時間続けず、適度に姿勢を変えたり体を動かしたりすることが大切です。

物を持ち上げるときは、荷物を体に近づけ、急に腰をひねる動作や無理な中腰を避けましょう。

危険な症状がある場合は早めに受診する

腰痛の受診時期を、痛みが続いた日数だけで判断することはできません。次の症状がある場合は、期間を待たず、速やかに医療機関を受診してください。

  • 安静にしても軽くならない、または痛みが悪化する
  • 発熱や原因不明の体重減少を伴う
  • 転倒後や、骨粗しょう症がある人に急な痛みが出た
  • 脚に力が入らない、しびれが急速に悪化する
  • 尿が出にくい、尿や便が漏れる
  • 股の周囲にしびれがある

特に、排尿・排便の異常、股周囲のしびれ、急速に進む脚の麻痺は、緊急性の高い神経障害の可能性があります。すぐに医療機関へ相談してください。

こうした症状がなくても、腰痛が長引く、繰り返す、日常生活に支障がある場合は、整形外科などで原因を確認しましょう。


まとめ

高齢者の腰痛は、加齢だけでなく、身体機能の低下、脊柱管狭窄症、骨粗しょう症による骨折、腰以外の病気など、さまざまな要因によって起こります。

「年のせい」と決めつけず、危険な症状がないかを確認したうえで、無理のない活動や専門家の指導による運動を取り入れることが大切です。適切な受診と日常生活の工夫を組み合わせ、活動的な生活の維持につなげましょう。

※STARTWELLは、病気の診断・治療・予防を目的とするものではありません。本記事は一般的な情報提供を目的としており、医師などの専門家による診断や助言に代わるものではありません。


ナースアンドクラフト株式会社 広島県呉市大崎下島を拠点に、訪問看護・予防医療・デジタルヘルスを組み合わせた地域医療インフラの構築に取り組んでいます。 2026年 ASEANハイレベル会合登壇|2024年 アジア健康長寿イノベーション賞 テクノロジー&イノベーション部門 大賞受賞

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