むくみは、よくある症状でも見逃せない体のサイン
足がむくむ、靴下の跡が残るといった症状は、高齢者によくみられます。長時間座っていた場合など、一時的で心配の少ないこともありますが、心臓や腎臓の病気、血栓、薬の副作用などが隠れている場合もあります。
むくみが続く、繰り返す、急に悪化するといった場合や、ほかの症状を伴う場合は、「年齢のせい」と決めつけず、原因を確認することが大切です。
むくみの主な原因
心臓の機能低下(心不全)
心臓の働きが低下すると、血液の流れが滞る「うっ血」や、体内への水分貯留が起こり、足の甲や足首、すねなどにむくみが現れることがあります。一般に両脚にみられ、息切れ、横になると息苦しい、夜間のせき、疲れやすさ、尿量の減少、急な体重増加などを伴うことがあります。
こうした症状がある場合は、心不全の可能性も考えて、早めに医療機関へ相談することが必要です。
腎臓・肝臓の病気や低タンパク状態
腎臓の働きが低下すると、体内の余分な水分や塩分を十分に排出できず、むくみが生じることがあります。また、尿にタンパク質が漏れる病気、肝臓の病気、低栄養などによって血液中のタンパク質が減少した場合も、むくみの原因になります。
原因の確認には、診察に加えて血液検査や尿検査などが必要です。
長時間の座位・立位や運動不足
座りっぱなし、立ちっぱなし、寝たきりなどの状態が続くと、重力の影響やふくらはぎの筋肉を動かす機会の減少により、下肢に水分がたまりやすくなります。下肢の静脈の働きが低下する「慢性静脈不全」や、静脈瘤が関係していることもあります。
血栓・感染・けが
片脚だけが突然むくみ、痛み、赤み、熱っぽさなどを伴う場合は、脚の深い静脈に血栓ができる「深部静脈血栓症」の可能性があります。また、皮膚や皮下組織の感染、けがなどでも、片側の脚にむくみが生じることがあります。
薬の副作用
一部の降圧薬(カルシウム拮抗薬など)、ステロイド薬、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)などが、むくみの原因になることがあります。
薬が原因と思われても、自己判断で中止・減量せず、処方した医師や薬剤師に相談してください。
日常生活でできるケア
原因によって適切な対応が異なるため、原因不明のむくみや、長く続くむくみについては、まず医療機関で相談することが基本です。
長時間同じ姿勢を取った後に生じる軽いむくみで、痛みや息苦しさなどがない場合は、次の方法で軽減することがあります。
- 長時間座り続けたり、立ち続けたりすることを避ける
- 足首を動かし、無理のない範囲で歩く
- 横になり、脚をクッションなどで少し高くする
- 締め付けの強い靴下や靴を避ける
- 塩分の取り過ぎを控える
弾性ストッキングは、静脈性のむくみなどに有効な場合があります。ただし、脚の動脈の血流が悪い人、重い心不全がある人、皮膚に傷や炎症がある人などには適さないことがあります。自己判断で使用せず、医師や看護師などに相談し、脚の状態に合った種類とサイズを選びましょう。
突然片脚がむくんだ場合は、血栓の可能性があるため、自己判断でマッサージや運動をせず、速やかに医療機関へ相談してください。
受診の目安
救急要請を検討する症状
むくみに加えて、次のような症状がある場合は、肺に血栓が詰まる肺塞栓症や、急性心不全などの可能性があります。ためらわず、救急要請(119)を検討してください。
- 突然の強い息苦しさ、呼吸困難
- 胸の痛み、圧迫感
- 血の混じったせき
- 意識が遠のく、失神する
- 冷や汗、強い動悸、意識の混乱
速やかに医療機関へ相談したい症状
次のような場合も、早めの受診が必要です。
- 原因が分からないまま、片脚だけが突然むくんだ
- むくんだ部分に痛み、赤み、熱感がある
- むくみが急に悪化した、または範囲が広がった
- 顔やまぶた、腹部など、脚以外にもむくみがある
- 発熱や強いだるさを伴う
- 尿量が減った
- 数日たっても改善しない、または繰り返す
- 心臓病や腎臓病があり、いつもよりむくみが強い
指ですねを数秒押したときに、へこみがしばらく残る状態を「圧痕性浮腫」といいます。これはむくみを確認する手がかりの一つですが、へこみの有無だけで原因や緊急度を判断することはできません。
日常的に記録することの意義
むくみの経過を把握するには、体重や症状を同じ条件で記録することが役立ちます。体重は、できれば毎朝、起床して排尿した後、朝食前に、同じ体重計と同程度の服装で測定します。
特に心不全と診断されている人では、短期間の急な体重増加が、体内に水分がたまっているサインになることがあります。「3日間で2kg以上の増加」などは医療機関への相談を考える目安の一つですが、基準は病状によって異なるため、主治医から示された基準を優先してください。
次のような項目も一緒に記録すると、変化を医療者へ伝えやすくなります。
- むくみが片脚か両脚か
- むくみの場所と程度
- 痛み、赤み、熱感の有無
- 息切れやせきの有無
- 尿量や排尿回数の変化
- 服薬状況
ウェアラブルデバイスによる歩数、活動量、睡眠などの記録も、生活の変化を知る補助的な情報になります。ただし、むくみの原因や重症度を診断できるものではないため、体重や症状の観察、医療機関での評価に代わるものではありません。
まとめ
むくみは、長時間同じ姿勢を取ったことなどで一時的に起こる場合がある一方、心臓・腎臓・肝臓の病気、血栓、感染、薬の副作用などが隠れていることもあります。
むくみの左右差、痛みや赤み、息切れ、体重や尿量の変化などを確認し、突然の症状や急な悪化を見逃さないことが大切です。原因不明のむくみや、長く続くむくみは自己判断で対処せず、医療機関へ相談しましょう。
※STARTWELLは、病気の治療・予防を目的とするものではありません。
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