フレイル予防における栄養の重要性
フレイル予防というと、運動や社会参加が注目されがちですが、「栄養」もフレイル予防の根幹をなす重要な柱のひとつです。特に高齢者においては、食欲低下・消化吸収機能の低下・一人暮らしによる食事の簡略化などの要因が重なり、栄養不足が深刻化しやすい傾向があります。
低栄養の状態が続くと、筋肉量の減少(サルコペニア)・免疫機能の低下・傷の治りの遅れ・疲労感の増大などが起きやすくなり、フレイルへの移行リスクが高まります。
高齢者が栄養不足になりやすい理由
食欲低下として、加齢に伴い食欲そのものが落ちる方が多く、「食べる量が減ったのは当たり前」と本人も家族も見過ごしがちです。実際には、体に必要な栄養素が十分に摂れていないケースが多くあります。
口腔機能の低下として、歯の減少・義歯の不具合・嚥下機能の低下などにより、食べられるものが限られ、栄養の偏りが生じることがあります。
食事準備の困難として、特に一人暮らしの高齢者は、調理の手間を省くために同じものを繰り返す、あるいは総菜や加工食品中心の食事になりやすく、特定の栄養素が不足しがちです。
社会的孤立との関連として、一人で食事をする「孤食」の状態は、食欲低下・食事量の減少と関連することが指摘されています。「誰かと一緒に食べる」という環境そのものが栄養状態の維持に影響します。
フレイル予防に特に重要な栄養素
タンパク質として、筋肉の材料となるタンパク質の十分な摂取が最も重要です。高齢者は若年者に比べてタンパク質の合成効率が低下するため、意識的に多めに摂ることが推奨されます。肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などを毎食に組み合わせることが理想的です。
ビタミンD・カルシウムとして、骨の強化と転倒予防に欠かせないビタミンDとカルシウムも重要です。日光浴と魚介類・乳製品・緑黄色野菜の摂取を心がけましょう。
亜鉛・鉄などのミネラルとして、免疫機能の維持と貧血予防のため、ミネラルの確保も必要です。食事が偏りがちな場合は、栄養補助食品の活用も選択肢のひとつです。
「食べる」ことを支える環境づくり
栄養状態の改善には、食品の種類・量を増やすだけでなく、「食べる環境」そのものを整えることが大切です。通いの場や地域食堂などで誰かと一緒に食べる機会を確保すること、口腔ケアを定期的に行うこと、食欲不振の背景にある疾患や薬の影響を確認することなどが、総合的なアプローチとして重要です。
栄養状態の変化をデータで把握する
体重の変化は、栄養状態の重要なサインです。意図しない体重減少(6ヶ月で2〜3kg以上)はフレイルの警戒サインのひとつとされています。
日常的な活動量の変化も栄養状態と関連しています。ウェアラブルデバイスによる活動データの継続的なモニタリングは、栄養不足が原因の活動量低下をいち早く察知する手がかりになり得ます。ナースアンドクラフト株式会社のSTARTWELL(スタートウェル)では、こうしたデータの変化を専門スタッフが見守り、気になる変化があれば早期にフォローアップする体制を整えています。
まとめ
栄養はフレイル予防の根幹です。タンパク質を中心とした十分な栄養摂取・口腔ケア・食べる環境の整備を組み合わせ、日常の変化を継続的に把握する仕組みを持つことが、高齢者の健康を長く支えることにつながります。
ナースアンドクラフト株式会社 広島県呉市大崎下島を拠点に、訪問看護・予防医療・デジタルヘルスを組み合わせた地域医療インフラの構築に取り組んでいます。 2024年 アジア健康長寿イノベーションアワード テクノロジー&イノベーション部門 グランプリ受賞