高齢者の高血圧は「よくあること」ではない
「年をとれば血圧が上がるのは仕方がない」と思っていませんか?確かに血管の弾力性は加齢で低下しますが、高血圧を放置することは重大なリスクをともないます。
高血圧は、脳卒中・心筋梗塞・心不全・腎不全といった命にかかわる疾患の主要な原因のひとつです。日本では高齢者の約半数が高血圧とされており、適切な管理が健康寿命の延伸に直結します。
高齢者の血圧管理がむずかしい理由
診察室血圧と家庭血圧のずれ
医療機関での血圧は正常でも家庭では高い「仮面高血圧」や、逆に医療機関では高くても家庭では正常な「白衣高血圧」があります。そのため、診察室での1回の測定だけでは実際の血圧を把握できないことがあり、正しい方法による継続的な家庭血圧測定や、必要に応じて24時間血圧測定を行うことが重要です。
孤立性収縮期高血圧
高齢者では、収縮期血圧が高い一方、拡張期血圧は高血圧の基準未満である「孤立性収縮期高血圧」が多くみられます。これは主に、加齢に伴って大動脈などの弾力が低下することを反映しており、脳卒中を含む心血管病リスクの上昇と関連します。
体位変換時の血圧低下(起立性低血圧)
高齢者では、立ち上がった際に血圧が大きく低下し、立ちくらみや失神、転倒につながることがあります。脱水、自律神経機能の低下、降圧薬を含む薬剤などが関係する場合があり、立位時の血圧や症状も確認しながら個別に管理する必要があります。
日常生活での血圧管理のポイント
家庭血圧の習慣的な測定
家庭血圧は、朝は起床後1時間以内に、排尿を済ませ、朝食や朝の服薬の前に測定します。椅子に座って1~2分安静にしてから、原則として2回測定し、すべての値を記録します。可能であれば就寝前にも測定し、毎日できるだけ同じ条件で続けることで、日常的な血圧の傾向を把握できます。
減塩・食事管理
食塩の過剰摂取は、血圧を上昇させる重要な要因です。加工食品や外食、麺類の汁などに含まれる塩分にも注意し、栄養表示を確認しながら摂取量を減らすことが効果的です。高血圧の人では、一般に食塩1日6g未満が目標とされています。
適度な運動
ウォーキングなどの有酸素運動を定期的に行うことは、血圧の低下に有効です。まずは無理のない強度から始めます。強い運動では一時的に血圧が大きく上昇することがあるため、血圧が十分に管理されていない人、心臓病などの持病がある人、運動中に胸痛・息切れ・めまいなどが生じる人は、事前にかかりつけ医へ相談することが重要です。
継続的なモニタリングの重要性
ウェアラブルデバイスを活用することで、日々の活動量・睡眠・安静時心拍などを継続的に把握し、生活習慣の変化と血圧管理を組み合わせることができます。「血圧を測る習慣」と「生活全体を継続的に見る仕組み」を組み合わせることが、高齢者の血圧管理の質を高めます。
まとめ
高血圧は高齢者に多い疾患ですが、適切な管理で脳卒中・心疾患のリスクを下げることができます。家庭血圧の習慣化・減塩・適度な運動・継続的なモニタリングを組み合わせることが、健康寿命延伸への現実的なアプローチです。
※STARTWELLは、病気の治療・予防を目的とするものではありません。
ナースアンドクラフト株式会社 広島県呉市大崎下島を拠点に、訪問看護・予防医療・デジタルヘルスを組み合わせた地域医療インフラの構築に取り組んでいます。 2026年 ASEANハイレベル会合登壇|2024年 アジア健康長寿イノベーション賞 テクノロジー&イノベーション部門 大賞受賞