認知症と「気づきの遅れ」という問題

日本の認知症患者数は2025年に約700万人を超えると推計されており、65歳以上の約5人に1人が認知症になる時代が来るともいわれています。医療・介護の現場では、早期発見・早期対応の重要性が繰り返し強調されていますが、現実には「気づいたときにはかなり進行していた」というケースが後を絶ちません。

なぜ気づきが遅れるのでしょうか。認知症は多くの場合、急に発症するのではなく、日常生活の中でゆっくりと変化が積み重なって進行します。本人が変化を自覚しにくいこと、家族と離れて暮らす独居高齢者には日常を見守る人がいないこと、そして「年のせいだろう」という見過ごしが重なって、発見が遅れがちです。


認知症発症前に現れる生活の変化

認知症の診断が下る前の段階(軽度認知障害:MCI)や、さらにその前の段階から、日常生活にはさまざまな変化が現れることがあります。

活動量の変化として、それまで活発に外出していた人が外出しなくなる、歩数が著しく減る、日中の活動パターンが変化するといった変化が見られることがあります。

睡眠の変化として、夜間の覚醒が増える、睡眠時間が乱れる、昼夜逆転傾向が出るといった変化も、認知機能の変化と関連している場合があります。

生活リズムの乱れとして、食事・入浴・外出などの日常的なルーティンが崩れてくることも、変化のサインのひとつです。

ただし、これらの変化が必ずしも認知症を示すわけではありません。体調不良・うつ・環境の変化など、さまざまな要因が考えられます。重要なのは、変化そのものを診断するのではなく、「いつもと違う」ことにいち早く気づき、専門家に相談するきっかけをつくることです。


データで「いつもと違う」を捉える

認知症発症前の変化を早期に察知するうえで、ウェアラブルデバイスによる継続的なデータ収集は有効なアプローチのひとつです。

特定の日の歩数や睡眠だけを見ても変化はわかりません。しかし、数週間・数ヶ月にわたるデータの積み重ねがあれば、「この人らしい生活パターン」が見え、そこからの逸脱を早期に察知できる可能性が高まります。

「最近、歩数が以前の半分以下になっている」「睡眠が乱れる日が増えた」という変化を、データとして客観的に把握できることは、本人や家族の感覚だけに頼るよりも、早期の気づきにつながりやすいといえます。


データは「気づき」のためのツールであって、診断ではない

重要な前提として、ウェアラブルデータによる認知症の診断はできません。データはあくまでも「いつもと違うかもしれない」という気づきのきっかけを提供するものです。気になる変化が見られた際には、かかりつけ医や地域包括支援センターに相談することが次のステップです。

STARTWELLでは、データに変化が見られた際に看護師・専門スタッフが電話や訪問でフォローし、必要に応じて医療機関や介護サービスへの接続を支援する体制を整えています。「データが変化した→支援につなぐ」という一連の流れを担うことが、STARTWELLの役割です。


長期的な見守りが生む安心

ナースアンドクラフト株式会社がSTARTWELLで支援してきた独居高齢者の中には、数年にわたって継続的に見守りを続けた結果、認知症の兆候が現れた際にスムーズに医療・介護サービスへつなぐことができた事例があります。

継続的な関わりがあったからこそ、「いつもと違う」変化に気づけた。これがSTARTWELLが大切にしている見守りの本質です。


まとめ

認知症は、発症前からゆっくりと生活の変化として現れます。ウェアラブルデバイスによる継続的なデータ収集は、こうした変化を早期に察知するための有力な手段のひとつです。データは診断ではなく「気づき」のためのツールであり、気づいたら専門家につなぐという流れを設計することが、早期対応の鍵になります。


ナースアンドクラフト株式会社 広島県呉市大崎下島を拠点に、訪問看護・予防医療・デジタルヘルスを組み合わせた地域医療インフラの構築に取り組んでいます。 2024年 アジア健康長寿イノベーションアワード テクノロジー&イノベーション部門 グランプリ受賞

日常生活と医療・介護の隙間を埋めるDX

フレイル予防・高齢者見守りにSTARTWELLを活用することにご関心がある方は、お気軽にお問い合わせください。導入事例のご紹介や、地域の状況に合わせたご提案が可能です。

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