フレイル予防事業とは
フレイル予防事業とは、加齢に伴う心身機能の低下(フレイル)を早期に発見・介入することで、要介護状態への移行を防ぎ、高齢者の健康寿命延伸を目指す取り組みです。自治体が主体となって実施するものや、医療・介護事業者と連携して展開するものなど、形態はさまざまです。
厚生労働省の「後期高齢者の質問票」を活用したフレイルスクリーニングや、地域の通いの場を活用した体操・栄養指導プログラムなど、全国の自治体でさまざまな実践が積み重ねられています。
自治体が取り組むフレイル予防事業の主な形態
自治体が実施するフレイル予防事業には、主に以下のような形態があります。
通いの場・サロン型は、公民館や集会所などを活用して、定期的に高齢者が集まり、体操・栄養・交流活動を行う形です。継続的な参加を通じて、社会参加と身体機能の維持を促します。
スクリーニング・個別支援型は、健診や質問票を通じてフレイルリスクの高い高齢者を早期に把握し、個別の支援や専門機関への紹介につなぐ形です。
デジタル活用型は、ウェアラブルデバイスやアプリを活用して、高齢者の日常的な身体活動や生活パターンを継続的にモニタリングし、変化を早期に把握する新しい形態です。
デジタルを活用したフレイル予防の可能性
通いの場や個別支援は効果的である一方、「参加できない高齢者への到達」という課題があります。特に独居高齢者や外出が困難な方、離島・中山間地域の住民には、既存の事業が届きにくい現実があります。
デジタルヘルスを活用したアプローチは、この「到達できない層」への継続的な支援手段として機能する可能性があります。自宅にいながらウェアラブルデバイスでデータを取得し、専門スタッフが遠隔で状態を確認する仕組みは、地理的・身体的な制約を超えた見守りを可能にします。
STARTWELLによる自治体との連携実績
ナースアンドクラフト株式会社のSTARTWELL(スタートウェル)は、広島県呉市を中心に、自治体・地域事業者と連携した予防ヘルスケアの実装を進めています。
独居高齢者を対象に、Fitbitによる生活データのモニタリングと看護師による定期的な伴走支援を組み合わせ、生活の変化を継続的に把握する体制を構築しています。長期にわたってサービスを継続した利用者が認知症の兆候を示した際に、適切な医療・介護サービスへの接続をスムーズに支援できた事例も積み重ねられています。
これらの経験をもとに、自治体のフレイル予防事業のパートナーとして、地域の実情に合わせた導入設計と継続的な運営支援が可能です。
フレイル予防事業の効果検証における視点
事業の効果を適切に測定・発信することは、継続的な予算確保と地域への説明責任の観点から重要です。主なKPIとしては、参加者のフレイル評価スコアの変化、要介護認定率の推移、参加者の生活満足度・主観的健康感の変化、医療受診回数の変化などが挙げられます。
短期的な数値変化だけでなく、「何年間、在宅生活を継続できたか」という長期的な視点での評価も、事業の価値を伝えるうえで重要です。
まとめ
フレイル予防事業は、自治体が高齢者の健康寿命延伸と介護財政の安定化に向けて取り組める、実践的な施策です。既存の通いの場・スクリーニング事業に加え、デジタルヘルスを活用した新しいアプローチを組み合わせることで、これまで支援が届きにくかった層への到達と、継続的な見守りの実現が期待できます。
ナースアンドクラフト株式会社 広島県呉市大崎下島を拠点に、訪問看護・予防医療・デジタルヘルスを組み合わせた地域医療インフラの構築に取り組んでいます。 2024年 アジア健康長寿イノベーションアワード テクノロジー&イノベーション部門 グランプリ受賞