フレイルとは何か

フレイル(Frailty)とは、加齢に伴って心身の機能が低下し、健康な状態と要介護状態の中間に位置する状態のことをいいます。日本語では「虚弱」と訳されることもありますが、医療・介護の現場では「フレイル」という言葉がそのまま使われています。

フレイルの特徴は、適切な介入によって健康な状態への回復が可能であるという点です。つまり、早期に発見し、適切な支援を行うことで、要介護状態への移行を遅らせたり、防いだりできる可能性があります。だからこそ、行政・地域社会が組織的に取り組む意義があります。


フレイルの主なサイン

フレイルには、身体的・精神的・社会的な側面があります。以下のようなサインが複数重なって現れる場合、フレイルの状態にある可能性があります。

身体的なサイン

  • 体重が意図せず減っている
  • 歩くスピードが遅くなった
  • 握力が低下している
  • 疲れやすくなった、体がだるい
  • 身体活動量が減った

精神的・認知的なサイン

  • 意欲や気力が低下した
  • 外出が億劫になった
  • 物忘れが増えた

社会的なサイン

  • 人との交流が減った
  • 閉じこもりがちになった
  • 役割や生きがいを感じにくくなった

特に「社会的フレイル」と呼ばれる孤独・孤立の問題は、身体的なフレイルよりも先に進行することがあり、見落とされやすいため注意が必要です。


なぜ自治体が取り組まなければならないのか

超高齢社会の現実

日本は現在、世界でも類を見ない速度で高齢化が進んでいます。65歳以上の人口割合はすでに29%を超え、今後もさらに上昇すると見込まれています。特に地方自治体においては、人口の半数以上が高齢者という地域も珍しくありません。

フレイル状態にある高齢者は、要介護認定を受けていないため、地域支援体制の「すき間」に入りやすい存在です。表面上は自立しているように見えても、日常生活の中で少しずつ機能が低下し、ある日突然、入院や介護が必要な状態になるケースが少なくありません。

介護保険財政への影響

要介護状態への移行を遅らせることは、個人の生活の質(QOL)の向上だけでなく、自治体・国全体の介護保険財政の安定化にもつながります。一度要介護状態になると、長期的なサービス利用が必要となり、財政負担は大きくなります。フレイル予防は、その「入り口」を遅らせるための重要な施策です。

地域包括ケアシステムの前段階を支える

地域包括ケアシステムは、医療・介護・予防・住まい・生活支援を一体的に提供する仕組みですが、その前提として「要介護になる前の段階での継続的な支援」が欠かせません。フレイル予防への取り組みは、地域包括ケアシステムの実質的な土台を整えることにつながります。


自治体が取り組めるフレイル予防策

1. フレイルの早期発見体制の構築

健康診断やいきいき百歳体操などの地域活動の場を活用して、フレイルのリスクが高い高齢者を早期に把握することが重要です。チェックリストや簡易評価ツールの活用が有効です。

2. 社会参加・生きがい活動の推進

コミュニティサロン、介護予防教室、ボランティア活動など、高齢者が地域とつながる機会を増やすことが、フレイル予防の基本です。社会的なつながりは、身体機能の維持と深く関係しています。

3. デジタルヘルスを活用した継続的な見守り

近年、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスを活用して、高齢者の日常的な活動量・睡眠・心拍数などのデータを継続的にモニタリングする取り組みが広がっています。特に、一人暮らしの高齢者や、離島・中山間地域などの医療資源が限られた地域では、デジタルを活用した見守り体制の構築が有効な選択肢となっています。

4. 医療・介護との連携体制の整備

フレイルが進行しているサインをつかんだとき、かかりつけ医や地域包括支援センター、ケアマネジャーなどへスムーズにつなげる体制が必要です。発見から支援への「つなぎ」が迅速に行われることで、重症化を防ぐことができます。


デジタルを活用したフレイル予防の新しいアプローチ

従来のフレイル予防は、教室への参加や訪問による把握が中心でしたが、通所や訪問だけでは継続的なモニタリングに限界があります。

近年注目されているのが、日常的に装着するウェアラブルデバイスのデータを活用したアプローチです。歩数・睡眠・安静時心拍数などの変化をデータとして継続的に把握することで、生活習慣の変化やフレイルの進行を早期に察知できる可能性があります。

ナースアンドクラフト株式会社が提供する**STARTWELL(スタートウェル)**は、こうしたウェアラブルデータの活用と、看護師による人の伴走支援を組み合わせた予防医療サービスです。データを「見るだけ」で終わらせず、変化があった際には専門スタッフが適切な支援につなぐ仕組みを持っています。

広島県呉市大崎下島(高齢化率約70%)を起点に、地域での実装を進めており、島嶼・中山間地域を含む自治体での導入実績を積み重ねています。


まとめ

フレイルは、高齢社会における最重要課題のひとつです。早期発見・早期介入によって健康寿命の延伸が期待でき、介護保険財政の安定化にもつながります。自治体にとって、フレイル予防への組織的な取り組みは、今後の地域づくりに欠かせない柱となるでしょう。

デジタルヘルスを活用した継続的な見守りは、これまでの訪問・通所型支援を補完する新しい選択肢として、注目が高まっています。


Nurse and Craft株式会社|広島県呉市大崎下島を拠点に、訪問看護・予防医療・見守りを組み合わせた地域医療インフラの構築に取り組んでいます。 2024年 アジア健康長寿イノベーションアワード テクノロジー&イノベーション部門 グランプリ受賞

日常生活と医療・介護の隙間を埋めるDX

フレイル予防・高齢者見守りにSTARTWELLを活用することにご関心がある方は、お気軽にお問い合わせください。導入事例のご紹介や、地域の状況に合わせたご提案が可能です。

TOP