フレイルとは

フレイル(Frailty)とは、加齢によって心身の活力が低下し、健康な状態と要介護状態のあいだに位置する「虚弱な状態」のことをいいます。日本老年医学会が2014年に提唱した概念で、医療・介護・行政の現場でひろく使われるようになっています。

フレイルの最大の特徴は、「適切なケアによって、健康な状態に戻れる可能性がある」という点です。要介護状態と異なり、早期に発見して介入すれば、回復や進行の遅延が期待できます。そのため、本人・家族・地域がフレイルに気づき、早めに対処することがとても重要です。


フレイルの原因

フレイルは、特定の病気が原因というわけではなく、加齢に伴うさまざまな要因が複合的に重なって進行します。主な原因として以下が挙げられます。

身体的な要因

  • 筋肉量の低下(サルコペニア)
  • 栄養不足・食欲低下
  • 慢性疾患(糖尿病、心疾患、関節疾患など)
  • 口腔機能の低下(オーラルフレイル)

精神・認知的な要因

  • うつ症状や気力の低下
  • 軽度認知機能障害(MCI)
  • 不眠・睡眠の質の低下

社会的な要因

  • 孤独・孤立
  • 社会参加の機会の減少
  • 生きがいや役割の喪失
  • 経済的な不安

なかでも「社会的フレイル」と呼ばれる孤独・孤立の問題は、身体的な衰えよりも先に現れることがあり、見落とされやすいため注意が必要です。外出の機会が減ったり、人と話す時間が少なくなったりすることは、フレイルの入口になり得ます。


フレイルの主な症状・サイン

フレイルかどうかを判断するための指標として、国際的には「Friedの基準」がよく使われます。以下の5項目のうち、3つ以上に該当する場合はフレイル、1〜2つ該当する場合はフレイルの前段階(プレフレイル)と判断されます。

  1. 体重減少:意図せず6ヶ月で2〜3kg以上の体重減少がある
  2. 疲労感:何をするにも疲れを感じやすい
  3. 活動量の低下:1週間の消費カロリーが著しく少ない
  4. 歩行速度の低下:歩くスピードが遅くなった
  5. 握力の低下:瓶の蓋が開けにくい、ペットボトルが開けにくい

これらの症状は、高齢者本人が「年のせいだ」と気づきにくいことも多く、家族や支援者が注意深く観察することが大切です。


フレイルの進行と要介護への移行

フレイルは放置すると、転倒・骨折、入院、認知機能の低下などを引き起こし、要介護状態への移行リスクが高まります。

研究によれば、フレイルの状態にある高齢者は、健常な高齢者に比べて要介護状態になるリスクや死亡リスクが高いことが示されています。また、フレイルは一度なると回復が難しいと思われがちですが、プレフレイルの段階から適切な介入を行えば、健康な状態に戻ることができる可能性があります。

早期発見・早期介入が重要とされる理由は、ここにあります。


フレイルの予防と対策

1. 栄養・食事

タンパク質をはじめとした十分な栄養摂取が重要です。肉・魚・卵・大豆製品などを毎日の食事に取り入れ、食欲が落ちている場合は原因を確認することが大切です。

2. 運動・身体活動

ウォーキングや軽い筋力トレーニングを継続的に行うことで、筋肉量の低下を防ぎ、フレイルの進行を遅らせることができます。運動習慣がない方も、まずは「毎日少し歩く」ことから始めることが推奨されます。

3. 社会参加・つながり

地域のサロンや趣味のサークル、ボランティア活動などへの参加が、フレイル予防に有効とされています。人との会話や役割を持つことが、心身の活力を維持することにつながります。

4. 継続的な見守りと専門家への相談

定期的な健康チェックやかかりつけ医への相談に加え、日常生活の変化を継続的に把握することが重要です。本人が気づかないうちにフレイルが進んでいるケースも多いため、家族や地域の支援者が日頃から様子を見守る体制が大切です。


デジタル技術を活用したフレイルの早期把握

近年、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスを日常的に装着することで、歩数・睡眠・心拍数などのデータを継続的に記録・分析する取り組みが広がっています。これにより、「いつもより歩かなくなった」「睡眠が乱れてきた」などの変化を、本人や家族だけでなく、専門家が早期に把握できるようになります。

ナースアンドクラフト株式会社が提供する「STARTWELL(スタートウェル)」は、Fitbitなどのウェアラブルデバイスと、看護師・専門スタッフによる人の伴走支援を組み合わせた予防医療サービスです。日々の生活データの変化を丁寧に観察し、気になる変化が見られた際には適切な支援へつなぐ体制を整えています。

一人暮らしの高齢者や、離れて暮らす家族の方の「何かあったときに気づける仕組みが欲しい」というニーズに応えるサービスとして、自治体・介護事業者との連携を通じた地域実装を進めています。


まとめ

フレイルは、加齢に伴う心身の虚弱な状態であり、放置すると要介護状態への移行リスクが高まります。しかし、早期に発見して適切な介入を行えば、健康な状態への回復が期待できます。

本人・家族が日頃からフレイルのサインに気づき、栄養・運動・社会参加・継続的な見守りという4つの柱で予防に取り組むことが大切です。また、デジタルヘルスを活用した新しいアプローチが、これまで見落とされてきた変化の把握を助ける可能性があります。


Nurse and Craft株式会社|広島県呉市大崎下島を拠点に、訪問看護・予防医療・見守りを組み合わせた地域医療インフラの構築に取り組んでいます。 2024年 アジア健康長寿イノベーションアワード テクノロジー&イノベーション部門 グランプリ受賞

日常生活と医療・介護の隙間を埋めるDX

フレイル予防・高齢者見守りにSTARTWELLを活用することにご関心がある方は、お気軽にお問い合わせください。導入事例のご紹介や、地域の状況に合わせたご提案が可能です。

TOP